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脂肪由来幹細胞(ASC)とは?仕組み・効果・安全性を再生医療医がわかりやすく解説

脂肪幹細胞の仕組みと可能性を、再生医療認定医が基礎からわかりやすく解説します

細胞培養研究室の試験管と滴管 再生医療 銀座YRクリニック

最近、「幹細胞」という言葉をよく目にするようになりませんでしたか。美容の広告、サプリメント、海外セレブの健康法、医療ニュース――どこを見ても、この言葉が登場します。

「細胞レベルで若返る」

「幹細胞でアンチエイジング」

「再生医療の時代が来る」

ところが「幹細胞がそもそも何なのか」という肝心な部分については、きちんと理解できていることが多くないのが現実です。

こんな疑問を持っている方も多いのではないでしょうか。

  • 普通の細胞と、何が違うのか
  • なぜ今、医療でも美容でも注目されているのか
  • 「再生医療」や「幹細胞治療」と、どういう関係なのか
  • 海外では進んでいると聞くが、日本はどうなのか
  • 「脂肪から採れる幹細胞」が、なぜ再生医療の中心になっているのか

この記事は、そうした疑問をひとつずつ解きほぐすための入門ガイドです。

銀座YRクリニックの基本的な考え方はシンプルです。
身体がどれだけ活力を保てるか、若々しくいられるかは、年齢ではなく細胞の状態が決める。
だからこそ、治療を選ぶ前に、まず細胞そのものを知ることから始まります。

※本記事は医療情報の提供を目的としており、特定の効果・治療結果を保証するものではありません。

そもそも「幹細胞」とは何か

幹細胞とは、一言でいえば「体の中の細胞の更新を支える源」です。

私たちの体は約37兆個の細胞でできています。その大半は寿命があり、日々入れ替わっています。

約28日
皮膚の細胞
約120日
血液の細胞
数年
骨の細胞

この「入れ替え」を支えているのが、幹細胞です。

「幹」という漢字が意味するもの

「幹」細胞の「幹」は、木の幹と同じ字です。一本の幹から、たくさんの枝が分かれていく――その姿をイメージすると、幹細胞の働きがわかりやすくなります。

幹細胞は、体の中で「枝分かれの起点」になる細胞です。一つの幹細胞から、条件に応じて、皮膚の細胞にも、血管の細胞にも、骨の細胞にもなれる。それが、普通の細胞との決定的な違いです。

普通の細胞と、何が違うのか

皮膚の細胞は皮膚にしかなれません。肝臓の細胞は肝臓にしかなれません。寿命が来たら、それで終わりです。

ところが幹細胞は、2つの特別な能力を持っています。

ABILITY 01
自己複製能
自分とまったく同じ細胞を増やし続けることができる
ABILITY 02
多分化能
条件に応じて、骨・軟骨・皮膚・血管など別の細胞に変化できる

この2つの能力が組み合わさることで、傷んだ組織の修復過程を支える可能性が生まれます。

若い頃に擦り傷がすぐ治ったのに、年齢を重ねると治りが遅くなる――これは気のせいではなく、幹細胞の数と活性が加齢とともに低下していくからです。

繰り返すスポーツの負荷、蓄積した疲労、過去のケガの後遺症。日々の生活の中で気づかぬうちに積み重なるダメージは、すべて細胞の劣化として身体に刻まれていきます。

なぜ今、こんなに注目されているのか

「幹細胞」という言葉が一般に広がり始めたのは、2012年、山中伸弥教授のノーベル賞受賞がきっかけのひとつでした。人工的に幹細胞を作り出す iPS細胞 の開発が世界的に評価され、この言葉が一気に身近になりました。

ただし、ニュースで話題になるiPS細胞やES細胞(受精卵から作る幹細胞)は、現在もまだ研究中であり、実臨床での応用には時間がかかります。

あまり知られていない事実があります。私たちの体の中には、もともと幹細胞が存在しているということです。これを体性幹細胞と呼び、今の医療現場で実際に使われているのは、この「体の中にもともとある幹細胞」です。

そしてその代表格が、これから解説する 脂肪由来幹細胞(ASC) です。

海外と日本――今、どこまで進んでいるのか

「海外では幹細胞治療が進んでいる」というイメージを持つ方も多いと思います。確かに、アメリカ・韓国・タイなどでは、幹細胞を用いた自由診療のクリニックが数多く存在します。ただし、「治療として確立されている水準」は国によって大きく異なります。規制が緩い国では、科学的根拠が十分でない治療が提供されているケースも指摘されています。

一方の日本は、2014年に施行された「再生医療等安全性確保法」により、幹細胞を使う治療は厳格に規制されています。提供できるのは、厚生労働省への届出を行った施設・医師のみ。この法制度の厳しさは、世界でもトップクラスと言われています。

「海外のほうが進んでいる」というより――

日本は安全管理の枠組みがしっかりしている中で、着実に臨床応用が進んでいる」というのが、実態に近い見方です。

幹細胞とDNAの3Dイメージ 再生医療 銀座YRクリニック

脂肪由来幹細胞(ASC)とは――いま、もっとも注目されている理由

MEDICAL SUPERVISION

樋口淳也 院長 / 銀座YRクリニック

整形外科専門医 再生医療認定医 日本スポーツ協会公認スポーツドクター 東京大学医学博士

「再生医療を提供する医師」は増えています。ただ、運動器疾患(関節・骨・筋肉の病気)を医学的に診断し、再生医療を施術し、さらに競技・日常への復帰まで設計できる医師は、日本でもごく少数です。

幹細胞にも、いくつかの種類がある

体性幹細胞の中でも、骨・軟骨・脂肪・筋肉・血管などに変化できるグループがあります。これを 間葉系幹細胞(MSC;Mesenchymal Stem Cell) と呼びます。

少し名前が複雑ですが、覚えなくて大丈夫です。「体の修復に幅広く使える種類の幹細胞」とだけ押さえておけば十分です。

幹細胞は、体のどこから採れるのか

「幹細胞を採るなら、骨髄とか血液のほうがイメージしやすいのに、なぜ脂肪?」と思った方もいるかもしれません。実は、間葉系幹細胞は体の複数の場所から採取できることがわかっています。

採取源体への負担採れる数由来
脂肪(ASC)小さい(局所麻酔・2mm切開)非常に多い(骨髄の約500倍の報告も)自家
骨髄(BMSC)比較的大きい少ない自家
歯髄(DPSC)抜歯のタイミングに依存中程度(若く活性の高い細胞)自家
臍帯・臍帯血本人には負担なし多い他家(他人由来)

「自分の細胞」か「他人の細胞」か

採取源の違い以上に本質的なのが、「自家(自分の細胞)」か「他家(他人の細胞)」かという区別です。

自家(脂肪・骨髄・歯髄)
拒絶反応のリスクが原則として起こりにくい
他家(臍帯・胎盤)
管理・品質・倫理の基準がより厳しく問われる

日本国内で広く臨床応用されているのは、圧倒的に自家細胞を使う治療です。そのなかでも、採取の容易さ・採れる数の多さ・加齢による影響の受けにくさを兼ね備えた 脂肪由来幹細胞(ASC) が、現時点でもっとも使われている選択肢になっています。

採取はどう行うのか

採取するのは、お腹の皮下脂肪を「米粒2〜3粒」ほどです。局所麻酔で、切開は2mm程度。入院は不要で、当日のうちに帰宅できます。そこから専門施設で培養して数百倍〜数千倍に増やし、点滴や局所注入で体内に戻す――これが脂肪由来幹細胞治療の基本的な流れです。

ASC・ADSC・脂肪幹細胞――呼び方の違い

同じ細胞が文脈によって違う呼ばれ方をすることがあります。

  • ASC:Adipose-derived Stem Cell
  • ADSC:Adipose tissue-Derived Stem Cell
  • 脂肪幹細胞・脂肪由来間葉系幹細胞:日本語表記

3つとも、意味するものは同じです。本記事では「ASC」で統一します。

脂肪由来幹細胞は、体の中でどう働くのか――3つのメカニズム

体内に戻されたASCが、どうやって修復過程に関与するのか。現在の研究では、主に3つの働き方が報告されています。

傷んだ場所に「自ら集まる」――ホーミング効果

ASCには、体の中で損傷や炎症が起きている場所を検知して、そこに自ら移動する性質があることが研究で報告されています。急救隊員が現場に駆けつけるような動きに例えられます。点滴で血流に乗せたASCが患部に集中的にたどり着く――この性質が、全身投与型の再生医療を成立させている根幹と研究者たちは考えています。

周囲の細胞に「声をかける」――パラクライン効果

現場にたどり着いたASCは、「成長因子」や「サイトカイン」と呼ばれる物質を分泌します。研究では、これらの物質が周囲の細胞の修復活動を活発にしたり、炎症を和らげたりする可能性があるとされています。ASC自身が変化するだけでなく、「周囲の細胞を起こして働かせる」連鎖的な作用が起きている可能性も示されています。

必要な細胞に「変化する」――分化能

条件が整えば、ASCは骨・軟骨・脂肪・血管などの細胞に分化することが報告されています。損傷部位で不足している細胞そのものを補う可能性を持つ、ということです。

これら3つの作用が研究上で組み合わさると考えられていることが、ASCが「従来の薬や注射とは異なる可能性がある」とされる理由です。従来のアプローチが「症状を抑える」ものだとすれば、ASCは「組織そのものに働きかける可能性がある」選択肢として研究が進んでいます。個人差があり、すべての方に同様の結果が得られるわけではありません。

スポーツ選手の膝関節リハビリイメージ 再生医療 銀座YRクリニック

海外で広がる選択肢――なぜ今、アスリートや経営者層も注目しているのか

日本ではまだ「新しい治療」というイメージが強い再生医療ですが、海外では早くから、怪我からの回復やコンディション維持のために幹細胞治療を取り入れるケースが報道されています

  • Cristiano Ronaldo:2016年、ハムストリングス損傷と膝関節側副靭帯損傷に対して、自身の細胞を用いた再生医療を受けたと報じられました(The Sun紙)。
  • Rafael Nadal:2014年、慢性的な膝の故障に対して幹細胞治療を選択したことが報じられています。
  • ほかにも、Tiger Woods(ゴルフ)、Kobe Bryant(バスケットボール)など、競技生活を長く続けるために再生医療を選ぶ選手の報道がなされています。

これらはあくまで海外での報道事例であり、効果や適応は個々の例で異なります。日本国内で提供される治療とは規制の枠組みも異なるため、「海外で誰々が受けたから」を直接の判断基準にすることはできません。

ただ、こうした報道から読み取れることがあります。「身体を酷使する人」「長く良好な身体状態を維持したい人」ほど、身体の基盤から改善することに積極的に取り組む時代に変わってきているということです。「怪我をしてから治す」という発想から、「身体の回復能力そのものに日頃から向き合う」という発想への転換です。

日本でも、静かに広がっている

日本国内では、法制度の厳格さもあり、海外のような大々的な広告・宣伝は控えられています。ただ実際には、経営者・医師・弁護士・現役アスリートなど、身体のパフォーマンスが仕事の質に直結する層を中心に、再生医療を選択肢として取り入れる動きが静かに広がっています。

当院にも、こうした背景を持つ方からのご相談が増えています。

  • ゴルフを続けたいが、肘や肩の痛みが気になり始めた方
  • 出張や会食が多く、疲労が抜けにくくなったことに危機感を持った方
  • 両親の膝の痛みを、手術以外の選択肢で支えたいと考えるご家族
  • 長く続けてきた運動を、50代・60代以降も無理なく続けたい

こうした方々に共通しているのは、「症状が出てから対処する」のではなく、「身体の土台そのものを、早めに整えておきたい」という考え方です。

期待される応用分野

ASC治療は現在、国内外のさまざまな領域で研究・応用されています。代表的な分野を整理しておきます。

整形外科領域――関節・軟骨・運動器

もっとも臨床実績が蓄積されている領域です。

  • 変形性膝関節症
  • 変形性股関節症
  • 慢性腰痛(椎間板性・椎間関節性)
  • 肩・肘関節の痛み(ゴルフ肘・テニス肘など)
  • スポーツ外傷後のケア(マラソン・ランニング愛好家の膝・アキレス腱など)

椎間板や関節軟骨は、もともと血管が少なく自己修復しにくい組織です。ASCがこうした組織にどう働きかけるかは、東京大学整形外科・骨軟骨再生医療講座東海大学整形外科をはじめ、複数の大学研究機関で臨床研究が進められています。

美容・アンチエイジング領域

  • 肌のハリ・弾力の変化へのアプローチ
  • 点滴による全身的なエイジングケア
  • 毛髪・頭皮への応用(研究段階)

加齢とともに体内の幹細胞数は減少します。自分自身のASCを培養して体内に戻すことで、身体の自然な修復機能を一定程度サポートするというコンセプトで研究が進んでいます。

その他の研究領域

慢性炎症性疾患・免疫系の不調など、幅広い不調に対する応用研究が世界中で進行中です。ただし、これらの多くはまだ保険診療として確立された標準治療ではなく、自由診療として提供されています。効果には個人差があり、すべての方に同様の結果が得られるわけではありません。

安全性とリスクについて――知っておきたいこと

「新しい治療」と聞くと、「安全なのか」「怪しくないのか」という疑問がまず浮かぶのは、当然のことです。ここは正面から整理しておきます。

日本の再生医療を規制する「再生医療等安全性確保法」

日本では、2014年11月に施行された再生医療等安全性確保法により、幹細胞を用いる治療は厳格に規制されています。ASC治療を提供するためには、以下の手続きが必要です。

01

治療計画を作成し、厚生労働大臣が認定する「特定認定再生医療等委員会」の審査を受ける

02

審査通過後、厚生労働省への届出を行い、提供計画番号を取得する

03

細胞の培養は、厚生労働省の認可を受けた細胞培養加工施設(CPC)で実施する

※「届出済み」という事実は、国が効果を承認したという意味ではなく、法定手続きを履行している医療機関であることを示します。

報告されている副作用・リスク

自分自身の細胞を使う治療のため、拒絶反応は原則として起こりにくいとされています。

2021年発表・大規模メタ分析(62件の臨床試験、3,546名)より

  • 死亡率・感染率・腫瘍(がん)の発生率は、治療群と非治療群で統計的に有意な差は見られなかった
  • 一時的な反応として、発熱・注射部位の軽い痛み・内出血などが報告されている
  • これらの多くは炎症反応が働き始める際の正常な生体反応と考えられている

ただし、リスクがゼロということではありません。針を用いる治療である以上、出血や感染の可能性は完全には排除できず、効果にも個人差があります。

クリニック選びで確認すべき3つのポイント

CHECK 01
届出施設か
提供計画番号を公開しているか
CHECK 02
担当医の専門性
関節なら整形外科専門医、など
CHECK 03
丁寧な説明があるか
適応・費用・リスクの説明が十分か

銀座YRクリニックが選ばれる理由

当院は、東京銀座に拠点を置く再生医療専門クリニックです。幹細胞治療・免疫細胞治療・PRP療法を中心に、関節ケア・スポーツ復帰・アンチエイジング・美容医療までを横断的に提供しています。

20,000例以上
外来診療
1,000例以上
手術執刀
3
専門資格(同時保有)

診断・治療・復帰設計を、一人の医師が一貫して担えることが、当院の核となる強みです。

OUR PHILOSOPHY

「Ageing Well」という考え方

老いに抗うのではなく、自分らしく健やかに年齢を重ねていく。老化は高齢者だけの話ではありません。20代でも30代でも、身体の中では静かに老化が進んでいます。どの年代の方も、Ageing Wellの途上にあります。

よくあるご質問

Q1. 幹細胞治療は、何歳からでも受けられますか?
年齢そのものに上限はありませんが、持病の有無、現在服用中の薬、全身状態によって適応は変わります。まずはカウンセリングで評価させていただきます。
Q2. 効果はいつごろから感じられますか?
ASCは「症状を抑える薬」ではなく、研究上で組織レベルに働きかける可能性があるとされる治療のため、即効性があるタイプの治療ではありません。数週間〜数ヶ月かけて徐々に変化を感じる方が多いとされていますが、効果の出方と時期には個人差があります。
Q3. 脂肪の採取は、手術と同じようなものですか?
局所麻酔下で行い、切開は2mm程度、採取するのは米粒2〜3粒ほどのごく少量の脂肪です。入院は不要で、当日のうちに帰宅いただけます。
Q4. 1回で終わりますか?何回必要ですか?
疾患・目的・体の状態によって異なります。単回投与で経過を見るケースもあれば、複数回に分けて投与するケースもあります。適切な回数はカウンセリングと初回評価で個別にご提案します。
Q5. 費用はどのくらいかかりますか?
再生医療は保険適用外のため、全額自己負担となります。治療内容・回数によって費用は異なるため、カウンセリング時に具体的な見積もりをご説明します。
銀座YRクリニック 院長と患者のカウンセリング風景

身体がどれだけ活力を保てるか、年輩と若々しくいられるかは、年齢ではなく細胞の状態が決める。

治療を選ぶ前に、まず細胞そのものを知ることから始まります。本記事が、そのための最初の手がかりになれば幸いです。

▶ 銀座YRクリニックへのご相談・ご予約

初診カウンセリング
¥3,300
電話
03-6263-9219

🌐 https://www.yrclinic.com

📍 〒104-0061 東京都中央区銀座6-5-13 Css Building III 7F

🚇 東京メトロ 銀座駅 C3・C2出口より徒歩5分

参考文献・出典

  • 厚生労働省「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」
  • 日本再生医療学会 公式サイト
  • 東京大学整形外科・骨軟骨再生医療講座 公式サイト
  • 東海大学医学部外科学系整形外科学
  • Thompson M, et al. Cell therapy with intravascularly administered mesenchymal stromal cells — a systematic analysis of peer-reviewed studies. (2020)
  • Zuk PA, et al. Human adipose tissue is a source of multipotent stem cells. Mol Biol Cell. 2002.

※効果には個人差があります。自由診療(保険適用外)です。本記事は医療情報の提供を目的としており、特定の効果を保証するものではありません。

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