2026年に発表された、32件のランダム化比較試験をまとめた解析により、PRPの効果は関節に実際に届いた血小板の総数と関連していることが示されました。
この「総数」は、よく耳にする「濃度が◯倍」とは、実は別の話です。何が違うのか、そしてなぜその違いが結果を左右するのかを、順を追って整理します。
濃度が2倍になっても、血小板の総数が2倍になるとは限らない
PRPについて調べていると、「濃度は全血の5倍」「高濃縮システムを使用」といった表現をよく目にします。
濃度はたしかに一つの指標です。ただ、それはあくまで比率にすぎません。
濃度とは
血小板の総数 ÷ 液体の量
では、濃度はどうすれば上げられるのでしょうか。方法は大きく二つあります。血小板をより多く集めるか、液体の量を減らすか。後者だけでは血小板は1個も増えません。同じ数の血小板を、より少ない液体に詰め込んでいるだけです。
具体例で見てみます。40mLの血液から50億個の血小板を回収したとして、仕上がりの量を変えるとどうなるか。
濃度は5倍になりました。けれども血小板は50億個のままです。関節に届くのも、やはりこの50億個だけです。
では、血小板の総数は何で決まるのか
総数を決めるのは、突き詰めれば二つの要素だけです。
20mLの血液に含まれる血小板の数は決まっており、その後どう処理しても総数が増えることはありません。
もともと血液に含まれていた血小板を、遠心・分離の過程でどれだけ回収できるか。ここで回収し損ねた分は戻りません。
血小板は多いほど効くのか──3段階の用量を比較した結果
研究の概要
米国エモリー大学のHooperらが2026年に『PM&R』誌で発表したシステマティックレビューとメタアナリシス(PROSPERO登録番号 CRD42022340057)において、軽度〜中等度の変形性膝関節症を対象とした32件のランダム化比較試験を解析しています。
この研究が従来と大きく違うのは、PRPをひとくくりに比較せず、実際に投与された血小板の総数で3つに分けた点です。分けたうえでヒアルロン酸と比較すると、3群とも有意な改善を示しましたが、その大きさは同じではありませんでした。
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※ 数値は効果量(標準化平均差/SMD)。効果の大きさを示す統計指標で、数値が大きいほど効果がはっきりしていることを意味します。いずれもヒアルロン酸との比較。
つまり、用量と効果は「多いほどよい」という一直線の関係ではないということです。
誤解を避けるために補足します。低用量群のPRPにも効果はあります。改善の幅が他の2群より小さいというだけで、効かないという意味ではありません。
※ この研究の対象は軽度〜中等度の変形性膝関節症であり、重度の症例にそのまま当てはめられるものではありません。
PRP治療を検討する際に見るべきは、どれか一つの数字ではなく、治療計画全体がどう組み立てられているかです。具体的な治療方針については、実際に診察をしてからでないと詳しくお話しできません。
銀座YRクリニックでも、膝のPRP治療を行っています
当院院長の樋口淳也は、東京大学で医学博士号を取得し、幹細胞研究に従事した整形外科専門医で、日本再生医療学会の認定医でもあります。20,000例以上の診療と1,000例以上の執刀を経験してきました。
日本では、PRPの関節内注射は「再生医療等安全性確保法」の対象です。認定再生医療等委員会の審査を受け、届出を済ませた医療機関だけが提供できます。当院も提供計画を厚生労働省に提出し、受理されています。
当院がPRPについて届出を行っている提供計画は、対象部位ごとに以下の3件です。
| 計画番号 | 対象・種別 |
|---|---|
| PB3250225 | PRPによる慢性関節炎治療・第二種再生医療等 本記事でご説明している膝関節への治療は、この計画に基づくものです |
| PC3250241 | PRPによる皮膚再生医療・第三種再生医療等 |
| PC3250242 | PRPによる育毛再生医療・第三種再生医療等 |
※ 皮膚・育毛の2計画は、膝関節への治療とは対象部位が異なります。
※ 提供計画が受理されていることは、国が治療の効果を保証・承認したことを意味するものではありません。
費用・治療内容・リスクについて
膝のPRP治療は自由診療(保険適用外)です。費用は以下のとおりです。
| 項目 | 費用(税込) |
|---|---|
| 初診料 | ¥3,300 |
| 再診料 | ¥2,200 |
| プレミアムPRP療法(変形性ひざ関節症・半月板損傷/片膝) 1回 | ¥264,000 |
| プレミアムPRP療法(変形性ひざ関節症・半月板損傷/片膝) 3回コース | ¥712,800 |
治療時間は採血から注射まで約90分です。回数は診察のうえ医師が判断します。効果は治療後2ヶ月〜約1年程度持続するとされていますが、持続期間には個人差があります。
主なリスク・副作用
PRP注射後に、赤み、かゆみ、痛み、腫れ、熱感、内出血等が生じる場合があります。自己血液を使用するため薬剤性アレルギーのリスクは比較的低いと考えられますが、感染、炎症反応、疼痛の増悪等が生じる可能性があります。
効果や術後の反応には個人差があります。末期の変形性膝関節症では、PRP以外の選択肢をご提案する場合もあります。
ご相談・ご予約
はっきりした痛みが出る前の段階でも、どうぞ気軽にご相談ください。銀座YRクリニック(東京・銀座/完全予約制・自由診療)
お電話:03-6263-9219
所在地:〒104-0061 東京都中央区銀座6-5-13 Css Building III 7F
東京メトロ銀座駅 C3・C2出口より徒歩5分
免責事項
本記事はPRPという分野の現時点での研究動向を整理したものであり、当院の治療効果を説明・保証するものではありません。適応の可否は診察のうえで判断します。効果には個人差があります。膝関節のPRP治療は自由診療(保険適用外)です。
出典
Hooper N, Shapiro S, Paidsetty V, et al. Platelet-rich plasma outcomes in knee osteoarthritis are associated with the amount of total deliverable platelets: A systematic review and meta-analysis. PM R. 2026;18(2):210-222. DOI: 10.1002/pmrj.13455



