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iPS細胞とは?2026年に承認・保険適用された2つの製品をわかりやすく解説

2006年の発表から20年。iPS細胞とは何か、そして2026年に何が起きたのかを整理します。

iPS細胞と再生医療の概念イメージ 銀座YRクリニック

この記事では、次の2つについてお話しします。

① iPS細胞とは何か
② 2026年に何が起きたか

① iPS細胞とは何か

ひと言でいえば、細胞を「巻き戻した」もの

私たちの体の細胞は、いったん皮膚の細胞になると、その後もずっと皮膚の細胞のままです。ほかのものに変わることはありません。

iPS細胞は、この流れを巻き戻したものです。

すでに役割の決まった細胞に、いくつかの特定の遺伝子を導入すると、「まだ何になるか決まっていない」状態に戻ります。そこから神経の細胞にも、心臓の細胞にも導いていくことができます。

いつ生まれた技術なのか

京都大学の山中伸弥教授らの研究によって生まれた技術です。

2006年
まずマウスで作製に成功

2007年11月
ヒトの細胞でも作製に成功

2012年
ノーベル生理学・医学賞の対象に

2026年は、最初の論文発表からちょうど20年にあたります。

なぜ画期的だったのか

実は、iPS細胞より前にも、さまざまな細胞に変化できる細胞は知られていました。ES細胞です(胚性幹細胞)とは、受精卵が細胞分裂を始めた、ごく初期の段階から取り出される細胞です。体のあらゆる細胞に変化できる力をもち、1981年にマウスで、1998年にヒトで作製されました。iPS細胞と同じく、「多能性幹細胞」と呼ばれるグループに属します。

問題は、その入手方法にありました。ES細胞は、受精卵からしか取り出せなかったのです。

受精卵は、そのまま育てば一人の人間になります。そこから細胞を取り出せば、育つことはできません。

そのため、長いあいだ世界中で議論が続いていました。生きている患者さんを救うために、生まれる前の生命を犠牲にしてよいのか。認めるべきだという意見と、決して認められないという意見が対立し、法律で禁じる国もありました。研究は、そこで足踏みしていたのです。

iPS細胞の登場によって、この議論の前提そのものがなくなりました。

用いるのは、皮膚や血液といったごくありふれた細胞です。ほんの少し採取するだけで、誰も傷つけません。

何に使えるのか

大きく2つあります。

1  失われた細胞を補う
脳の神経細胞や心臓の心筋細胞は、一度傷つくと元には戻りません。iPS細胞を使えば、こうした細胞をあらかじめ体外でつくり、体に戻すという道が開けます。

2  病気そのものを調べる
患者さんの体で試すわけにはいきません。けれども、少し細胞をいただいてiPS細胞をつくり、目的の細胞へ導けば、シャーレの中で病気の様子を再現できます。新しい薬を試すこともできます。

実際には、2つめの使い方のほうが早くから広く活用されてきました。

細胞を培養液の中で育てる研究室のイメージ 病態の再現と創薬研究
細胞を培養液の中で育てる研究室のイメージ

② 2026年に何が起きたか

再生医療の研究室における細胞分注装置のイメージ iPS細胞由来の再生医療等製品
治験と国の審査を経て承認される再生医療等製品の研究段階のイメージ

3月 国内で初めて、2つの製品が承認されました

iPS細胞を用いた治療製品が国の承認を受けたのは、世界で初めてのことです。

アムシェプリ
(住友ファーマ)/パーキンソン病
パーキンソン病は、脳の中でドパミンを出す神経細胞が減っていく病気です。iPS細胞からその神経細胞の前段階の細胞をつくり、脳に移植します。

リハート
(クオリプス)/重症心不全
血流が不足して心臓の働きが弱くなった患者さんが対象です。iPS細胞から心筋細胞をつくり、シート状にして心臓の表面に貼り付けます。

ただし、ひとつ大切な点があります

この2つは「条件及び期限付承認」です。安全性が確認され、有効性も見込めそうだという段階で、先に承認する仕組みです。この先7年のあいだ、実際の治療を通してデータを集め続け、そこで確認できてはじめて正式な承認となります。

「効果が完全に確定した」という意味ではありません。

5月・7月 保険適用が決まりました

承認のあと、2製品とも公的医療保険の対象となることが決まりました。

アムシェプリ
2026年5月20日に薬価収載。価格は1人あたり約5,530万円。

リハート
2026年7月22日に保険適用が了承。9月1日から適用予定で、価格は約5,320万円。

いずれも高額ですが、保険が適用されるため、患者さんの実際のご負担は高額療養費制度などの条件によって変わります。

1月 がん治療の試験結果が公表されました

理化学研究所と千葉大学病院が、iPS細胞からがんを攻撃する免疫細胞をつくり、頭頸部がんの患者さんに投与する試験を行いました。その結果が、2026年1月に公表されました。

画像で評価できた8名のうち、5名は試験期間中に腫瘍の大きさが安定しており、そのうち2名では腫瘍が大きくなるのを抑える効果がみられたと報告されています。

これは第I相、つまり主に安全性を確かめる段階の試験です。実用化までにはまだ距離がありますが、進むべき方向は見えてきたといえます。

このほか、1型糖尿病、脊髄損傷、角膜の病気などでも研究が進められています。

参考・出典

最終更新日:2026年●月●日 / 制度や承認の状況は今後変わる可能性があります。最新の情報は各機関の公表資料をご確認ください。

本記事は医療情報の提供を目的としたものであり、特定の治療効果を保証するものではありません。記事中で紹介した承認済みの製品は、実施できる医療機関が限られており、一般の美容クリニックで受けられるものではありません。

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